英検3級から英語の勉強を初めてみようという社会人にとっては、「英検3級くらいサクッと合格しておきたい」という願望がある一方、「たかが英検3級で不合格だったらどうしよう?」という不安もありますよね。
たしかに英検3級は英語学習の過程においてそれほど高くないハードルではありますが、とは言え全く勉強せずに合格できるほど簡単ではありません。
本記事では、過去9回分の過去問データを分析し、そのデータを基に考案した最も効率的な勉強法をご紹介します。
9回分の過去問に隅々まで目を通すことによって出題のパターンがわかり、パターンがわかったことにより攻略法も見つけることができました。
ぜひ本記事を最後までご覧いただき、英検3級を楽々合格できる勉強法とテクニックを持ち帰ってください。
英検3級筆記試験1「短文の語句空所補充」の攻略法
「短文の語句空所補充」では、比較的短い文章の中の一つの単語が( )で空欄となっており、その空欄に入る最も適切な語句を4つの選択肢の中から一つ選ぶ問題です。
出題の傾向と割合
出題のパターンは以下の通りです。
- 語彙:すべて意味の違う4つの単語の中から最も当てはまる単語を選ぶ
- イディオム:イディオム(2語~3語で1つの意味を形成する)の一部が欠けた単語を選ぶ
- 同じ品詞の意味違い:選択肢は一つの品詞(例えば形容詞や代名詞など)で統一されていて、その中から「意味」と言うよりは「機能」として最も当てはまる単語を選ぶ
- その他文法問題(現在完了・動詞の態・関節疑問文):単語の変化の形を見て、文法上最も当てはまる単語を選ぶ
このパートは全部で15問出題されますが、15問すべて上記4つのパターンのどれかに該当します。
それぞれ対策しておけば確実に正解は取れますよ。
ちなみに上記のパターンの出題頻度は以下の通りです。
ご覧の通り、語彙とイディオムが圧倒的に多く出題されています。ですので、このパートでは単語、イディオムをどれくらいたくさん覚えているかという力が試されているという事です。
※イディオムとは、「2語以上の単語の組み合わせで意味を示す表現」のことで、似たような言葉で「熟語」もありますが、ここでは同じものだと思ってもらって大丈夫です
もう一つ見落としてはいけないのが文法問題です。英検3級では必ず文法問題を3問入れてきます。しかも絶対に13、14、15問目です。ですので、最後の3問は絶対に文法問題が来ることをしっかり意識しておいてください。
問題サンプルと対策方法
語彙に関しては、「単語をどれくらい知っているか」を問う問題となっていますので、やはり問題を解けるだけの十分な単語を記憶しておく必要があります。
例えば上記の写真のような問題の場合、4つの選択肢の意味を全て知っており、そのうえで文脈に最も合う選択肢を正解として選ばなければなりません。
また、語彙問題の次に出題数が多いのがイディオムを問う問題です。
上記の問題の場合、「in fact(実際は)」という言葉があるということを知らなければ解けない問題となっています。逆に言えば、その言葉を知っていれば他の3つの選択肢は完全に無視して正解だけを選べるということです。
その他代表的なイディオム(熟語)とは以下のようなものですね。
- be interested in~ ~に興味がある
- agree with~ ~に賛成する
- be supposed to~ ~することになっている
- run out of~ ~を切らす(使い果たす)
- be in charge of~ ~の責任者
上記のように、複数の単語が一つの組み合わせとなり意味を持ちます。で、英検ではこのようなイディオムの中の一語が空欄になっている問題が出題されます。
このパターンは少し厄介で、問題を解くときに「これだ!」という決め手が得られにくいのが特徴です。
例えば上記の画像のような問題ですが、選択肢をずらっと見た時に何となーく全ての単語の意味はわかりますよね。でも、どれが正解かと聞かれると、ちょっと答えるのが難しいと思うはずです。
このように、前置詞や接続詞を正確に見分けたい場合はある程度の文法知識が必要です。文法知識があることによって前置詞の見分け方や接続詞の正しい使い方が分かるようになります。
ですが、あくまで英検3級合格にこだわるのであれば、このタイプの問題は、戦略的に見捨ててしまうのもアリです。幸いこのタイプの問題はあまり多く出題されませんので、この問題に限っては捨ててしまってもまだまだ合格は目指せます。
「短文の空所補充」の最後の3問は必ず「文法問題」と決まっているようです。
例えば上記の問題ですと、選択肢には「write(書く)」を原型とし、そこから変化した形が4つ選択肢として用意されています。
この問題の解き方として、まず空欄の前にはSVが揃っていることから、空欄には目的語となる語が必要となります。しかしながら空欄の後には「letters(手紙)」と既に目的語と思われる語がありますので、今度はこのletterと選択肢writeとの関連について考えなければなりません。
選択肢を順に見ると、「write(書く・原型)」、「writing(書くこと・動名詞)」、「wrote(書いた・過去形)」、「writes(書く・3人称単数の形)」と、それぞれの役割が見えてきます。
空欄の後ろのlettersとの相性を考えると、2のwritingで繋いでやれば「writing letters(手紙を書くこと)」となるので、この2つの語は相性が良いことが分かりますよね。
更に文頭のNaoko likes(ナオコは~が好きです)とつなげても、Naoko likes writing letters(ナオコは手紙を書くことが好きです)となり、なかなかいい感じに意味が通じる形になりました。
このような文法問題が必ず最後の3問に出題されますので、上記のような発想で正解を導き出す必要があります。
その他の文法問題は以下のようなものが過去に出題されていました。
- 関係代名詞
- 助動詞
- 動詞の変化
- 間接疑問文
- 付加疑問文
- 現在完了
- 比較級(最大級)
特に現在完了についてはほぼ毎回出題されていますので、現在完了に限っては必ず正解できるよう理解を深めておきましょう。
英検3級筆記試験2「会話文の文空所補充」の攻略法
「会話文の文空所補充」では、各問題ごとに2人の会話文が書かれており、その会話の一部が空欄になっています。4つの選択肢にそれぞれ短めの文章がありますので、その中から2人の会話にピッタリ合う文章を選択します。
出題の傾向(割合)
出題のパターンとしては以下の2通りです。
- 全体を理解して解く問題:会話文全体の内容、流れを理解し、文脈に最も合う選択肢を選ぶ
- 引っかけ問題:選択肢の中に引っかけを誘う単語が巧みに含まれているので、会話文の内容をしっかり理解していないとウッカリ選ばされてしまう
正直なところ、どちらの出題パターンが来たとしても会話文全体の流れをしっかり理解していないとこのパートを正答することは難しいです。
そういう意味ではあまり小手先のテクニックはなく、会話文を丁寧に読解していかなければなりません。
ただし、一つ一つの文はとても短く、複雑な構造は一切含まれませんので、落ち着いて読めば必ず正解が分かるようになります。
問題サンプルと対策方法
このタイプの問題に関しては即効性のあるテクニックがなく、一文一文丁寧に和訳して、会話の流れを正確に捉える必要があります。
とはいえこのパートの英文は一つ一つの文が比較的短いので、落ち着いて読めばそれほど難しくはありません。例えば上記の問題でも1文目は「Where do you want to eat tonight?(今晩どこで食事がしたいですか?)」と、割と楽に意味取りできますよね。
それに対して選択肢ですが、「No problem.(問題ありません)」、「That’s all right.(それで大丈夫だよ)」 「Let me see.(どうしようかなぁ、、、)」、「I thought so, too.(僕もそう思ったんだよ)」となりますので、正解は3であることが分かります。
このように、落ち着いて問題を見れば簡単に答えが分かる問題が多いです。
選択肢の中に「引っかけ」が含まれているパターンです。
会話文と選択肢でわざと同じ単語を使ったり、会話文の一部から連想されるであろう単語が選択肢に含まれていますので、あまり問題が理解できていないとついつい選んでしまいそうになるのです。
基本的な問題の解き方は上記の「全体を理解して解く問題」と同様で、会話の流れを把握する必要があります。ただし、この引っかけが含まれる場合は、ヒントと思われる単語が目についたからといって、ついつい飛びついてしまわないように注意しなければなりません。
英検3級筆記試験3「長文の内容一致選択」の攻略法
筆記試験の中で最も難易度の高いパートがこの「長文問題」です。
ビッシリ書かれた英文の量に圧倒されてしまいそうですが、しっかりコツを掴めば意外と簡単に問題を解くことができます。
出題の傾向(割合)
長文問題の出題パターンは主に以下の4通りです。
- ピンポイント型:設問文の中に正解を導くためのワードが含まれており、本文内の同じワードを見つければその付近に答えがある
- 言い替え:ピンポイントではあるが、設問にあるワードが本文のワードと言い替えられているので、言い替えに気づかないと答えに辿り着かない
- 全部読み:本文全体の内容を把握してないと問題に答えられない
- ちょい広く読み:ピンポイント型ほど情報が絞られていないので、設問の内容からある程度自分で意図を推察し、該当しそうな場所を本文から見つける
上記パターンの出題頻度はこの通りです。
ちなみに、英検では正答率が60%~70%で合格とされています(正確なデータは公表されていません)。ありがたいことに長文問題はピンポイント型が68%ですので、ピンポイント型の問題さえ正確に答えられれば合格のチャンスは十分にあります。
4つのパターンの難易度は、簡単な方から「ピンポイント型」→「言い替え」→「ちょい広く読み」→「全部読み」の順に難しくなりますので、難易度の低いものから正答率を上げていく戦略が合理的です。
問題サンプルと対策方法
このタイプの問題は正解を見つけるのが本当に簡単で、僕の中ではボーナス問題とすら思っています。しかも出題される割合も高いので、ここでしっかりと正解の数を稼ぐことができます。
基本的には本文の中に同じ単語がある場所を探し、その単語が含まれる一文(もしくは二文)程度を読めば正解は見つかります。
ピンポイント型は全問正解しましょう!
出題頻度は少ないですが、コンスタントに現れるのがこの「言い替え」です。
上記のサンプルをご覧の通り、「if the weather isn’t good」が「if the weather is bad」が言い替えられ、意味としては「もし天気が良くなければ」→「もし天気が悪ければ」と言い替えされてますね。
その他にも過去問からは以下のような言い替えが出題されていました。
(設問文)What will Jane’s father do tomorrow eveing?
(本文) My dad will call your mom tomorrow.
→「dad」を「father」に言い替えることで該当する場所を見つけにくくしていますね。
(設問文)What will some people be able to receive at tha parade?
(本文) The players will give hundreds of blue and white Sharks towels to fans.
→設問文では「ある人たちは何を受け取りできますか」と尋ねているのに対し、本文では「選手たちはファンにタオルを与えます」と、受け取り側ではなく手渡す側の立場で述べています。このように立場を変えて言い替えてくるパターンもあります。
(設問文)People cannot go on a boat ride.(この後選択肢に「if the weather is bad」が続く)
(本文) We are closed every Tuesday and when the weather is bad.
→設問文で「人々は船旅に出られません」と述べられているので、何か特別な理由があるのでは?と思ってしまいますが、本文を見てみると「船旅は休業します」の記載があります。「休業」=「船旅に出られない」と連想しなければいけないパターンです。
問題の中には想像力を働かせないと正解が見えないものもありますので、このタイプの問題に関しては過去問や他の対策本でしっかり英文を読み込み、慣れていくしかありません。
「全部読み」は文字通り本文を全部読まないと解けない問題で、長文問題の3つ目(3C)で必ず問われる問題です。
3Cで必ず出題されるとわかっているので、このパートに関しては最初から本文を全部読んでしまった方がよいでしょう。なぜなら、本文を全部読んで全体を理解しておけば、その他の問題も解答しやすくなるからです。
逆に一つ一つの問題をかいつまんでも、なかなか本文全体のイメージは掴みにくいです。なので、3Cに限っては、どうせ最後に本文全体の要約を聞かれると分かっているので、最初から全文読んでしまいましょう。
ある意味このタイプの問題が一番厄介かもしれません。
設問内に明確なヒントとなる単語がなく、それでも設問の内容はあるポイントに絞った事を聞いてきます。ですので、問題を解く際は「(本文中の)どのポイントに焦点を当てているのかな?」とイメージしながら設問を読むことが重要です。
この問題は3Bで頻繁に出題されます。3Bと言えばだいたいがメールのやり取りの問題ですので、問題を解くコツとしては「登場人物に意識を向ける」ことです。
メールのやり取りの場合は必ず各メールのトップに「From(差出人)」や「To(宛先)」の情報が記載されていますので、まずそちらに目を通し「誰が誰に宛てて書いたメールなのか」を把握しましょう。そうすることで、少なくともどっちのメールを見れば設問文の答えが載っているのか判断できるようになります。
まとめ
今回は、過去データを基に英検3級の筆記試験(ライティングを除く)の傾向と対策方法を紹介しました。
本記事をまとめると以下の内容となっています。
試験パート | 頻出パターン | 出現率 | 対策 |
---|---|---|---|
短文の 空所補充 | 語彙・イディオム | 69% | 語彙・イディオムの暗記を徹底 |
会話文の 空所補充 | 全体を理解して 解く問題 | 69% | 単語に惑わされず、落ち着いて英文を読む |
長文の 内容一致選択 | ピンポイント型 | 68% | 設問文と同じ言葉を使っている場所を 本文の中かから探し当てる |
公式データではありませんが、英検3級は各パートで60%~70%の正答があれば合格のボーダーラインとなっています。すなわち、上記の出題パターンを完全に攻略すれば合格ラインを超えることは非常に簡単であることがデータから分かります。
英検3級で特に重要になってくるのは語彙・イディオムです。結局のところ、単語やイディオムが分かれば問題にも答えられるし、英文全体の意味もなんとなく推測できるようになります。逆を言うと、覚えている単語やイディオムが極端に少ないとかなり苦戦しますので、まずはボキャビル(ボキャブラリービルディング:語彙力増強すること)中心で勉強していきましょう。
また、上記のチャートで示している以外の出題パターンも攻略すれば更に合格の確率は上がりますので、絶対に一発で合格したい!と思う方は是非、一つ一つの出題パターンの対策に取り組んで、確実に合格を掴みにいってくださいね。
今回の記事が参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。